ストロークとは交流分析の用語のひとつで、相手の存在を認めて起こす行動の全てを指します。
交流分析界の業界的に言うと「存在認知の刺激の一単位」とも。
刺激とはいったいどういうことなのか、それについては後ほど改めて説明することにして、まずはストロークの種類を説明いたします。
ストロークには身体的なものと精神的なものがあり、それぞれにプラスの作用をもたらすものとマイナスの作用をもたらすものがあります。
以下はそれぞれの例です。
【身体的&プラスの作用】
頭を撫でる、抱きつく、握手をする 等
【精神的&プラスの作用】
褒める、笑いかける、挨拶する 等
【身体的&マイナスの作用】
殴る、蹴る、叩く 等
【精神的&マイナスの作用】
怒鳴る、睨む 等
これらのストロークは人間社会にあってはならないものです。
誰からも相手にされず、誰とも交流しないという生き方はできるものではありません。
周囲の全ての人間からひたすら無視されていては、自分が存在している意味がないとさえ思えて来ます。
しかし、上記のようなストロークを与えてもらえば、それがたとえマイナスに作用するものだとしても、その人は自分の存在を認めてくれていることになるのです。
人間は栄養をとらないと生きていけません。酸素がないと生きていけません。
それと同じように、ストロークがないと生きていけないというのが、交流分析においての概念となっています。
理想をいえば、与えられるストロークがプラスに作用するものであってほしいものですね。
そのために社会では交流分析やNLP資格が注目されているのですし、私もこうして交流分析やNLPセラピーをお勧めしているのですが。
交流分析の専門家でなくとも、PACモデルさえ知っていればそれを利用することができます。
人間である以上悩みは尽きないものですが、あまり悩みに振り回されないためにはおすすめの利用方法です。
例として、友人との待ち合わせで相手が遅刻しているとしましょう。
そのときあなたは友人に対してどう思いますか?
「病気や事故なんてことになってなきゃいいけど・・・」と心配するでしょうか。
「約束の時間にこないなんてなんてやつだ!」と憤慨するでしょうか。
「待ち合わせの場所を間違っているのかも・・・」と不安になるでしょうか。
これら湧き起こった感情は何が良くて何が悪いということはありません。
感情の善し悪しを問うのではなく、これらがPACモデルのどれに当てはまるのかを考えるのです。
上記の例の1番目ならNPといったふうにです。
この交流分析を行う際の注意ですが、善し悪しの判断をして、今後直していこうとはなるべく思わないようにしましょう。
自責の念を抱くとストレスになって、せっかくの交流分析も逆効果となってしまいます。
AC値が高くFC値が低い人は注意が必要です。
これは奔放さが少なく自己表現が苦手なことを表しており、心の病気にかかりやすいとされています。
対処法として、会話の際に「うわー!」とか「へぇー」など感嘆詞を多く使うとよいでしょう。
また、交流分析の実践と同時進行すると効果があるのが、NLPセラピーです。
NLPも自己実現や対人関係に深く関わる心理療法で、nlp理論には交流分析と近いものがあります。
興味を持ってNLPを学ぶだけでも、効果のほどが分かるかと思います。
交流分析では、人間には誰でも5つのキャラクターがあるとされています。
5つのキャラクターとは、以前に説明した交流分析に重要なPACモデルによるものですが、もう一度簡単にまとめてみます。
【CP】・・・規範的かつ正義的な親
【NP】・・・優しく保護的な親
【A】・・・冷静で客観的な大人
【FC】・・・自由奔放で想像力のある子供
【AC】・・・協調性がありおとなしい子供
コアトランスフォーメーションなどNLPのように、交流分析でも以上5つのバランスを表したエゴグラムが使用されます。
エゴグラムから見られるのは10のタイプ。それらそれぞれがその人の行動パターンや性格の特徴を表しています。
タイプはそれぞれ以下のとおりです。
1・円満タイプ
思いやりがあって優しいことが分かります。周囲の人たちとよりよい人間関係を築くには理想的なタイプです。
2・合理的タイプ
「1」と近似のタイプですが、あちらが暖かみのあるのに対し、こちらは冷静であることが重視できます。
日本において理想的なのは「1」ですが、欧米ではこちらが理想的と言われています。
3・自己犠牲タイプ
他人に対しては優しいのですが、他人の気持ちを察することに気を遣いすぎてストレスとなってしまう危険性があります。
4・自己主張タイプ
「3」とは正反対の、自分にも他人にも厳しいタイプ。責任感が強くリーダーシップがある半面、対人関係でトラブルが起こりやすい面もあります。そんな人にお勧めなのが第3世代nlp。
5・葛藤タイプ
自分に厳しく、他人にも厳しく、後悔したり自分を責めることも多々ある、ストレスを抱え込みやすいタイプです。
6・癇癪タイプ
自他を否定しがちな余裕のないタイプです。
7・苦悩タイプ
完璧主義の人に多いタイプです。理想と現実の違いをなかなか認められず、それゆえ悩みを抱え込み、うつ病にもかかりやすいとされています。
8・明朗タイプ
ストレスのたまりにくいタイプで、明るい人が多いです。ただし、ワガママになりすぎないよう注意が必要。
9・ワンマンタイプ
責任感はあるのですが、融通が利かない頑固なタイプです。怒りやすくかつ反発もされやすいので、ストレスに注意が必要です。
10・人頼みタイプ
他人への気遣いはできますが、リーダーシップは薄く面倒見も苦手です。なかなか自信を持てず、悩みも多いタイプです。
交流分析では、うつ病やパニック障害などで悩まされている人には無意識に働いている13の禁止令があるとされています。
これはグールディング夫妻によって交流分析の禁止令を臨床的に研究され、まとめられました。
13の禁止令とは以下のとおりです。
1・存在するな
2・成長するな
3・自分の性であるな
4・子供であるな
5・重要であるな
6・成功するな
7・所属するな
8・健康であるな
9・親しくするな
10・感じるな
11・考えるな
12・実行するな
13・欲しがるな
これらは幼児期に非言語(表情やジェスチャーなど)で大人から伝えられます。
これが人生脚本に組み込まれ、望ましくない人生を歩むことになりかねないのです。
また、これらの禁止令に対し、5つの拮抗禁止令というものがあります。
禁止令の場合は「~するな」でまとめられていますが、拮抗禁止令は「~しろ」といった命令形でまとめられます。
拮抗禁止令は以下のとおり。
1・完璧にしろ
2・満足させろ
3・努力しろ
4・強くなれ
5・急げ
子供は13の禁止令によってさまざまなことを否定されても、5つの拮抗禁止令を守っている限り存在を許されていると判断します。
それは、努力し続けることが自分自身の証明だと思い込んでしまうことに繋がり、大人でもその影響がみられる人は少なくありません。
たとえば、社会の環境や人間関係に過剰に適応している人。
そういった人は傍目には場に馴染んでいるようには見えますが、それによってストレスを抱え込んでいることが危惧されます。
人生脚本に書かれた道筋が幸せになれるものならいいのですが、不幸になる道筋が描かれているのであれば何としても避けたいものです。
しかし現実をみると、そのような人生脚本から逃れて、自由な人生を歩んでいる人は全人類中1パーセントにも満たないといわれています。
例えば、努力に努力を重ねて誰からも認められるようになった人格者でも、ある日突然思いもよらない犯罪を犯してしまうというケースが見られますね。
これは、幼い頃に作り上げてしまった、不幸な人生脚本どおりに生きようとする行為の表れである可能性があります。
深層意識ではその人生脚本どおり不幸にならなければいけないと思っているのに、現実では逆のことが起こっている。
それははたから見れば大変喜ばしいことなのに、自分自身では脚本どおりでないため居心地が悪く感じ、その結果自らを転落させる行為をしでかしてしまうのです。
ただ、人生脚本が無意識であるのと同じように、自分を陥れる行為も何故そんなことをしたのか自分自身理解できないということが多々あります。
行為が理解できないため、結局「やはり自分は駄目な人間なんだ」という結論に戻ってしまい、悪循環が起こるのです。
何故か分からないけれど不幸にしかなれない気がする・・・という方、気を付けてください。
それはあなたの無意識下にある人生脚本が原因かもしれませんよ。
良くない道筋の人生脚本を書きかえること、それが交流分析の目的でもあります。
人生脚本は交流分析しながら書きかえられ、それは大人になってからでも遅くありません。
できれば、交流分析に長けたカウンセラーの指導のもと行うとよいでしょう。
人間はまだ幼いうちに未来の自分を想像すると考えられています。
エリック・バーンが提唱した交流分析において重要な理論が、この人生脚本と呼ばれるものです。
幼い頃というのは、個人差はありますが大体7歳までです。
それまでの間に、自分の育てられ方や周囲からの接し方をもとに、今後の人生の脚本を無意識に書いてしまうというのです。
人間は無意識のうちに作られたその人生脚本の筋書き通りの人生を送ります。
誰でも、自分の人生はその場その場に応じて判断して生きていると思うでしょうが、それにおいても、気付かないうちに特定の方向へ選択しているのです。
では、人生脚本はいったいどのように作られるのでしょうか。
先ほど、育てられ方は周囲の接し方と述べましたが、親からの愛情の与えられ方が大きな要因となることは間違いありません。
例えば、両親から優しい言葉をかけられ愛情いっぱいに育てられたのであれば、「自分は愛される人間で幸せになれる。自分の周りはいい人ばかり」というかんじの脚本が書かれます。
それに対し、虐待など酷い育てられ方をした場合、「自分は駄目な人間だ。何をしても上手くいかないし、幸せになれるはずがない」という脚本が書かれるのです。
不幸な脚本を作ってしまった人は「対抗脚本」というものを作ります。
対抗脚本は不幸にならないために書かれる自己救済要素ですが、これを実現させるのは極めて難しいとされています。
人生脚本が無意識で働いているのに対し、対抗脚本は意識的に考えないと働かせることはできません。
表向きは対抗脚本のとおりに努力していても、深層心理では人生脚本が働き続けているので、重要な選択を迫られたときには必ず不幸の道を歩んでしまうのです。
交流分析を提唱したのはエリック・バーンという精神科医です。
エリック・バーンは人の自我状態には3種類あると仮定しました。
それが以下に説明するPACモデルです。
【P】・・・Parent
両親や親代わりの行動パターンを無意識に模倣する状態。
子供をあやすように接する状態が代表として挙げられます。
また、他の例として、幼い頃に親の叱り方を学んで、成長後にそれと同じように叱ることなども含まれます。
【A】・・・Adult
今現在起こっている物事に対して、冷静に考えて行動する状態。
この場合の行動には、大人としてのこれまでの経験や知識が活かされていると同時に、自分を客観的に評価する傾向がみられます。
【C】・・・Child
子供の頃の行動パターンを同じように繰り返す状態。
主に感情的な行動や感情表現がこれにあたります。
例えば、叱られた場合に、反省して改善に努めるのではなく、叱られたことに屈辱を感じたり叱った人に対して怒りを覚えるといったことなどです。
さらに、PとCは以下の二つずつに分割できます。
【P】
Nurturing Parent・・・保護的、寛容的な親
Critical Parent・・・規範的な親
【C】
Free ChildまたはNatural Child・・・自由奔放な子供
Adapted Child・・・他者に順応する子供
以上それぞれの状態は個人の行動、言動、思考などに強く影響を与えると考えられています。
影響を与えた結果、積極的なプラスの方向に働くのか、悲観的なマイナスの方向に働くのかを分析するのが、交流分析です。
心理療法で有名な交流分析。
単語は聞いたことがあっても、その内容をよく知らないという人がほとんどでしょう。
交流分析とは、成長するにつれて変化してきた人格を踏まえた心理療法です。
交流分析によく用いられるモデルに「PAC」というものがあります。
PはParent、AはAdult、CはChild。
このモデルを使うと人の行動や言動、また感情の表し方などを明確に区別することができ、それが交流分析の第一歩となります。
交流分析の活躍の場は多岐に渡ります。
コミュニケーション理論として考えると、会社組織の分析方法としても使われます。
また、子供の成長や発達、多種精神疾患の治療、個人から家族・友人関係などグループ間のセラピーなど。
治療以外にも、コミュニケーションの手法としてや、コンサルティングやマネージメントの分野にも応用されています。
交流分析にはまず上記したPACモデルを用いますが、それらをもとに、構造分析、交流パターン分析、脚本分析、ゲーム分析等が行われます。
交流分析には、いくつか提唱されている概念があります。
そのうちのひとつが、人間の人生を脚本と考える「人生脚本」というもの。
この概念では、人生の過ごし方に疑問を持った場合、その答えを見出すために利用されます。
精神病理学の理論としては、交流分析に用いられる脚本は、苦悩や自虐的行動といった精神的な障害を証明するにあたて有効とされています。
そのため、うつ病など心の病の治療に交流分析療法が注目されています。